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なつき
研究者3児の父
特許出願30件以上の研究者。保育士の妻と3人の子どもを育ててます。世界の教育論文やビジネス経験を基に、学力と非認知能力を同時に育てていく方法を模索してます。

子供にご褒美をあげるのは危険!ご褒美なしで勉強させる方法

子供にご褒美をあげるのは危険!ご褒美なしで勉強させる方法

子供のやる気を引き出すのにご褒美はあり?ご褒美で釣って勉強させてもよい?

子育てしている方なら、誰しも一度は考える問題ですね。

当然私も考えました。そして、辿り着いた結論を実行していったら、子供が自主的に勉強するようになりました!しかもご褒美なしで。

この記事では、私が世界の研究や心理学から学んだことを基に、どうやって子供を自主的に勉強する子に育てたかを説明します。

この記事を5分読むだけで、あなたの子供も自主的に勉強するかも?

目次

子供へのご褒美が良い悪いではなく、内的動機付けが重要

子供へのご褒美が良い悪いではなく、内的動機付けが重要

ネットで検索すると、ご褒美あり?なし?の議論ばかりです。

ナツキ
正直、ご褒美がありなし議論はどうでもいいです。

ご褒美はあくまで子供が行動するための手段でしかありません。大切なのは、ご褒美をあげようと、あげなかろうと、子供自身の意志で行動(勉強)するようになること。つまり「内的動機」につなげる事。

内的動機付けと外的動機付けとは?

  • 内的動機:自身の意志で行動すること
  • 外的動機:ご褒美や罰の回避が目的で行動すること

  • 友達と遊んでたら日が暮れていた
  • パズルをしてたら2時間たっていた
  • 本が面白くて没頭していた

このようにご褒美がなくても、自身の内側からでるやる気が「内的動機」。

  • 怒られるから早く仕事する
  • ご褒美がもらえるから勉強する
  • お小遣いが貰えるからお手伝いをする

このように、ご褒美や罰で行動するやる気が「外的動機」。

つまり、ご褒美をあげるのが良い!悪い!の議論ではなく、どちらが「内的動機付け」に向いているかどうかを議論する必要があります。

なぜなら、本当に成功する人は、他人から言われてやるのではなく、自分の意志で行動するからです。

勉強だって、親から言われてやるよりも、例えば「将来医者になりたいからやる」と思ってやった方が、絶対に伸びます。

ご褒美は外的動機付けにはが最強だけど、内的動機付けには繋がりにくい

  • 10万円あげるから1日仕事手伝って?
  • 好きなおもちゃ買ってあげるから勉強しよ?

と言われてたら、誰だって行動します。つまり、ご褒美=外的動機付け、は短期的な動機付けには最強。

でも、親が望んでいるのは、「何も言われなくても勉強する子供」ですよね?

ご褒美は外的動機付けに効果があっても、内的動機付けには向かないというのが一般的な見解。その研究事例を次に示します。

ご褒美を貰った子は勉強しなくなる研究結果がたくさんある

ご褒美を貰った子は勉強しなくなる研究結果がたくさんある

世界の研究では、ご褒美は学ぶ意欲を低下させるという結論が主流。

代表的な理由としては、「ご褒美をもらうと、報酬が目的になってしまう」というものです。これをアンダーマイニング効果と言います。

アンダーマイニング効果

報酬を与えられるとモチベーションが下がってしまう現象。

子供にご褒美をあげても効果がない研究事例紹介

ハーバード大学の経済学者ローランド・フライヤー

シカゴやニューヨークにある公立学校で、PTAに参加した人、本を読んだ生徒、生徒の点数をあげられた先生に報奨金や賞を与えて、成績や出席率、卒業率が上がるかを観察しました。

3年かけた実験でしたが、統計的に全く効果がありませんでした。

研究の内容はこちら①
研究の内容はこちら②

さらに今度は、成績自体に報酬をつけました。「成績良かったらご褒美あげるよ~」ってことですね。この実験も3年かけて行われましたが統計的に効果はありませんでした。

研究内容はこちら③

さらに今度は、家での勉強を促すために、親にも現金を渡して家庭学習を促して成績を上げようとしましたが、この実験も失敗。読解力の成績に至っては低下したという結果すらありました。

ロチェスター大学のエドワード・デシの研究

2つの学生グループにパズルを解かせる実験で、1日目は何も与えずパズルをやってもらい、2日目は片方のグループにだけ、「パズルを1つ完成させる毎に1ドル払う」というご褒美ルールを追加しました。

そして3日目は「お金がなくなったから」という理由でご褒美ルールを中止しました。結果、ご褒美をもらったグループは3日目には、極端にパズルへの意欲がなくなりました。

1日目はご褒美がなくても興奮してパズルをやっていたのに。

もう一方のグループはやる気まんまんでパズルに取り組みました。

興奮するパズル遊びだったのに、報酬をもらうことで「仕事」になってしまった

エドワード・デシ

ご褒美は短期的(外的動機付け)には効果があるけど、長期的(内的動機付け)にはマイナスにもなりうる。が多くの研究の結論。

でも、子供へのご褒美が必要な場合もある【外的動機付けの使い方ルール】

短期的にやる気をUPさせたい場合です。

  • テスト前や受験の前の、一時的なパワーアップ
  • まったく勉強しない子の第一歩のきっかけとして

コツは、ご褒美自体が動機の目的にならないように、テストの点数などの結果ではなく、努力したプロセスに対してご褒美をあげること。

  • 頑張って努力した報酬
  • 一生懸命、勉強してたのを見てたから、そのプレゼント

研究結果を真に受けて、ご褒美がダメだと決めつけてはいけない

結論が180度変わります。ここまでご褒美をあげる事が一般的に良くないと説明してきましたが、大事なことは内的動機につながるかどうかなので、我が子の内的動機に繋がればご褒美をあげるべきです。

ご褒美の効果は子供の性格によっても違いますし、与え方によっても変わります。

だから、親が考えて、工夫した結果、ご褒美が内的動機に繋がるなら、積極的に上げるべきです。

ただし、一般的にはご褒美でつる行為は、内的動機に繋がりにくいので、ご褒美なしで勉強するように教育した、我が家の事例を紹介します。

子供へのご褒美なしでどうやってやる気を出させるか?3つの動機付けルールが必要

子供へのご褒美なしでどうやってやる気を出させるか?3つの動機付けルールが必要

「内的動機付け」「外的動機付け」の概念を生み出した、著名な心理学者エドワードデシの提言を紹介します。

デシは、ほとんどの人間にとって勉強はつまらないものなので、勉強を自主的に行うため(内的動機)には気持ちのルールが必要だと言っています。そのルールは3つ。

  • 「自律性」人からやらされるのではなく、自分の意志でやること
  • 「有能性」やり遂げられるが簡単ではない課題をやること
  • 「関係性」価値を認めてくれる人がいること

3つのルールが満たされた時に、勉強をする内的動機が生まれます。

ボランティアはご褒美がなくても頑張れるのはなぜでしょうか?

自分の意志で(自律性)、なかなか人がやらないことを行って(有能性)、人から感謝されたり認められたりする(関係性)、からではないですか?

我が家の事例|自分から勉強したいと思う気持ち 「自律性」

長女は「勉強する?」っていうと喜びます。なぜなら、「勉強=親と楽しい時間を過ごせ」と思っているから。

この気持を醸成するために次のことを心がけました。

取り組み例

  • 親も一緒に楽しくやる
  • 正解不正解にこだわらず楽しくやる
  • 勉強の目的を教える

小学生になると「勉強=つまらない」と周囲から吹き込まれるので、就学期前に、「勉強すると親と楽しく遊べる!」と思わせることが大事だと感じました。

また、無理に早期教育もしてません。正解不正解よりも学ぶ姿勢、学ぶ楽しさを教えます。なぜなら、3歳で1+1を覚えても、極端な事を言うと1+1は中学生になれば誰でもできます。

それよりも、変化に対応できる学ぶ姿勢を教えることにこだわっています。

また、子供自身に「勉強の価値、目的を良く説明する」のも効果的です。

我が家の事例| 簡単すぎても難しすぎてもダメ「有能性」

簡単すぎるとつまらないし、難しすぎても諦めてしまいます。子供をよく見て、「ちょうどよく頑張れる内容」を心がけました。

ちょうど良い問題を少し頑張って解いた後に、努力を認めてあげたら「頑張ることって楽しいね!」と言ってくれるようになりました。

そして、その気持ちが「もっと難しい問題を解いてみたい」というモチベーションに繋がっていきました。

我が家の事例|褒めるではなく認める 「関係性」

  • 「上手にできたね」
  • 「テストの点が良かったね」
  • 「偉いね」

というのが褒め。

  • 「ピアノを毎日頑張れたね」
  • 「転んでも最後まで頑張れたね」
  • 「毎日勉強したら英語が分かるようになってきたね」

これが認める。

子供も大人と一緒で、人から認められることで、自己肯定感を育み、やる気に繋がっていきます。

また、成長している事を実感できれば「もっと成長したい!」という内的動機も高まります。

この3つの取り組みで長女は自主的に勉強する子に育っています。

まとめ

  • 自分の意志で
  • ちょっとやり甲斐のある問題を問いて、成長を感じさせ
  • それを認めてあげる

【まとめ】ご褒美が良い悪いではなく、子供の内的動機付けについて考えよう

【まとめ】ご褒美が良い悪いではなく、子供の内的動機付けについて考えよう

子供にご褒美をあげるのは、あくまで手段のひとつです。

大事なのは、ご褒美をあげたら子供の内的動機につながるだろうか?と考えること。

「ご褒美貰ったらやる気になるかな?」「そのやる気って内的動機づけのきっかけになるかな?」「ご褒美ないとやらない子にならないかな?」

研究では、子供にご褒美は良くないというのが総論ですが、効果は子供によって違うと思いますし、シュチュエーションによっても変わります。

だから、

必死で、子供のやる気を出させるためにはどうしたら良いか考えましょう!決して答えはネットや育児本には落ちてません!

最後は子供を見て決めるんです!

【自主的に勉強させる効果】目先きの勉強より学ぶ楽しさを教えよう

【自主的に勉強させる効果】目先きの勉強より学ぶ楽しさを教えよう

そもそも、なぜ子供になぜ勉強してほしいのか考えました。

良い大学に入るため?違いますよね。幸せになるためだったり、ビジネスで成功して欲しいから。

自主的に勉強できる人材が勝ち残れる時代がくる

既に来ていますが、今後ますます自主的に勉強する力が求められます。

なぜなら、時代の変化が速いので学校で習ったことが直ぐに陳腐化してしまうからです。常に新しい知識を学んでアップーデートしていかなければ勝ち残れません。

例えば、プログラミングです。

今でこそウェブ全盛の時代ですが、20年前はウェブもプログラミングも限られた人たちの文化でした。もちろん学校では教えてくれません。

では、プログラミングで勝ち組になった人達は、どこでプログラミングを学んだのか?基本的には独学ですね。チャンスを掴むために自主的に勉強したんです。

そして子供が大人になる20年後。プログラムなんてAIが書いているかもしれません。いや多分書いてます。

そうなると、今度はプログラミングが陳腐化して、何か別の技能が必要になる訳です。その別の技能を見つけて、自主的に勉強する人が勝ち組です。

だからやっぱり、自主的に勉強する「内的動機付けが大事」だと考えています。

【後日追記】よくある質問|お金をご褒美にして良いか?

私は条件付きでありだと思います。なぜなら、私は極貧家庭で育ったので、お金持ちになることをモチーベーションに勉強してきました。

一方で、「テストで良い点取ったら5千円」は無しです。なぜなら、学ぶ姿勢が身に付かないから。受験は成功しても、大人になってから勉強しなくなります。

【後日追記】よくある質問|内的動機につながるご褒美のあげ方は?

物でなく、子供を認めるという行為をご褒美にすること。

テストで良い点取ったら、「タブレットあげる」 ではなく、「頑張ったね、成長したね」と認めてあげる。子供の自己肯定感も高まって一石二鳥です。こうやって育った子は大人になって他の人に優しくなれると思います。

一方で、物のご褒美をあげると、利己主義になりやすいです。

だから、タブレットは「勉強に必要だから買うよ!ゲームしても良いけど、基本的に勉強用だということを忘れないように」と言って買い与える。別に何かの対価としてあげなくても良い。

もしくは、タブレットを扱うことでITリテラシーが高まると思えば、ゲーム専用で買ったって良いかもしれません。

以上、子育て頑張りましょう!

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