3000万語の格差を知ってますか?乳幼児期に語彙力に差がついてます

3000万語の格差を知ってますか?乳幼児期に語彙力に差がついてます

子供の能力は何で決まる?通う学校?塾?それとも生まれ持った遺伝でしょうか?

実は、世界的に親の経済力が高い方が優秀な子供になるという事実があります。日本でも東京大学に通う学生の親は平均年収は900万です(2017年学生生活実態調査)。

私は年収200万家庭で育ったので、この結果は悔しい(笑)だって、好きで貧乏家庭に生まれたわけじゃないし。

そこで、本記事では、 「 The 30 Million Word Gap by Age 3」 (3000万語の格差)という世界的に非常に有名な研究からヒントを得て、子供の能力を伸ばす方法を考えます。

この研究を知って、私は我が子への接し方が大きく変わりました。きっと、みなさんも、本記事を読んだ日から意識が変わるはずです。

また、この研究の内容は「3000万語の格差」という本に翻訳されています。 著者はダナ・サスキンド博士、翻訳は掛札逸美さん、解説が高山静子さん。この記事の内容もこの本に詳しく書かれています(本記事の最後にレビューあり)。

要約
経済力の高い家庭ほど、親が子供に話しかけます。その話す言葉の数は、貧困家庭と比較して4歳までに3000万語の差が生まれます。この結果が子供の能力の差につながるという内容。でも、やり方を真似することで誰でも子供を成長させられます。

貧乏家庭の子供は3000万語の格差がある

貧乏家庭の子供は3000万語の格差がある

世界では貧困層の子供を優秀に育てるための研究がたくさんあります。貧困層を優秀に育てて税金をたくさん払ってもらいたいから(笑)

3000万語の格差の研究は、家庭内の会話を録音して、言葉の数を数えた結果、乳幼児期~4歳までに聞く言葉の数(語彙量)が、家庭によって3000万語の差があるといいう内容。

そして、その語彙量の差によって能力に差がでるという内容。掘り下げていきます。

そもそも語彙量って大切なのか?

語彙量は非常に重要な指標。なぜなら、日々の生活はもちろん、学力の基礎となる能力だからです。

これから紹介する「3000万語の格差」の研究でも、3歳までに聞いていた語彙量と10歳時点の言語スキル、テストの点数とが相関がある、という結果。

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日本の研究でも語彙量と学力の関係が指摘されています。

語彙量はいろいろな能力の基礎になる

人は何かを考える時に頭の中で言葉を並べて処理しています。

例えば、「赤いリンゴが空から落ちてきて、私の頭に当たった」という現象を理解しようとしたときに、「リンゴ」を知らなかったらどうなるでしょう?

「赤いなにか良く分からないものが空から・・・」
「赤いなにかは硬いだろうか?」
「硬かったら痛いだろうか」
と考えることが増えて、現象を理解する速度が落ちます

たかが数秒かもしれませんが、何十年も積み重なれば、相当の理解量の差になります。「リンゴ」を知らないことが処理能力の差になるんです

つまり、乳幼児期の語彙量を高めて物事を知ることは、この先、何十年もの理解量に差がつくことになります。つまり、学力や非認知能力に差がつきます。

だから、語彙量は大事。

じゃあ、語彙はどうやって発達させばいいのか?

これを調べたのが、Betty HartとTodd R.Risleyの「The 30 Million Word Gap by Age 3」の研究。日本語訳すると「3000万語の格差」です。

この研究は、社会的経済力の異なる家族の毎日の会話を、録音して調査することで語彙と子供の能力の関係を明らかにしようとしました。

  • 社会的経済力が高いグループ
  • 社会的経済力が 中程度のグループ
  • 社会的経済力が 低いグループ

お金持ちほど子供に語り掛けているという事実

「3000万語の格差」より引用し、独自の解釈を入れて作成

お金持ちほどたくさん語り掛けていることが分かります。

  • お金持ちの子供はたくさんの語彙を聞く
  • 貧乏家庭の子供との語彙量の差は1年で800万語
  • 3年で3200万語の差(3000万語の格差)
  • 結果、3歳時点の語彙量に差がつく
  • その語彙量の差が成長の差につながっていく

この差が就学期の学力や将来の成長に寄与していきます。

お金があろうとなかろうと、子供を優秀にするために「話す!話す!話しまくれ!」ということですね。

なぜお金持ちほど子供に語りかけるのか?

私は貧乏家庭で育ったので、この理由が良く理解できます。

  • そもそも親の語彙量が少ない
  • 育児に熱心ではない

経済的に裕福な家庭は、あれやこれやで子供を成長させようと努力します。つまり、あれやこれや話しかけるわけです。

一方で、私が幼少期で覚えている言葉は「うちは貧乏だから」と「お金がない」です(笑)。まあ、貧乏家庭はこんなもんです。

いまだに覚えているのが、5歳の時にお祭りで「貧乏だからなにも欲しいって言っちゃダメ」と思っていて、親戚のおばさんから「ナツキ君は何も欲しがらなくてえらいね~」と言われたことです。

親の話す語彙、声がけが幼少期の成長にどれだけ影響を与えるか分かるエピソードですね。つまり、語彙量は大事だけど、どんな内容を話すかも大事だと言うことです。

語彙量だけでなく話す内容も格差がある|話す内容が大事

語彙量だけでなく話す内容も格差がある|話す内容が大事

考えてみれば当たり前です。「リンゴ」という単語を3000万回繰り返しても語彙が成長しません。豊かで多様な言葉を投げかける必要があるんです。

「3000万語の格差」でもこの点を調査しています。

言葉の量が多い家庭では、数だけではなく、言葉の豊かさ、複雑さ、多様さといった要素も見られた。

3000万語の格差

つまり、たくさん話しかけている家庭は、語彙量だけではなく、話す質も良かったということ。

肯定語・否定語の数が社会的経済力によって違う

「3000万語の格差」より引用し、独自の解釈を入れて作成
  • 社会的経済力の低い家庭は否定語が多い
  • 社会的経済力の高い家庭は肯定語が多い

そもそも、社会的経済力の低い家庭の方が、聞かせる語彙量の絶対数が少ないので、話す言葉に占める否定語の割合はぐっと高くなります。

この結果も貧乏家庭育ちの私からすれば理解できます。

  • 精神的に余裕がない
  • 普段の思考がネガティブ

一般家庭で育った方にはあまり理解できないかもしれませんが、そんなもんです。おかげで、私の自己肯定感は地を這うほど低かったです。

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現在は自己肯定感がわりと高めになりました。なぜ自己肯定感を高められたからは「貧乏家庭の子供でも自己肯定感が上がる7つの方法」をご覧ください。

否定されると成功できない子になる

自己肯定感が低いと社会で成功しにくいですが、もう少し掘り下げます。

突然ですが、貧乏家庭から年収1000万の研究者になった私が信じていることがあります。それは、「生まれや育ちじゃない、頑張ればなんでもできる!」です。

これは、大人になってから知った話ですが、この能力のことをGRITと呼び、成功する人が持っているマインドなんです。GRITを簡単に言うと「やり抜く力」で、「頑張ればできる」というマインドです。

しかし、GRITは否定されすぎると身に付きません。なぜなら、自分自身を信じる力(自己肯定感と似ている)を育てていくことがGRITにつながるからです。

否定語を多く浴びせられた子供は自分を信じることができるでしょうか?自己肯定感高く生きられるでしょうか?

答えは言うまでもなく、No.ですね。つまり、否定語を多く浴びせられた子は成功できない子供になってしまいます。

否定語以外でも言葉の質が大事

例えば、「早く食べなさい」「早く着替えなさい」という言葉を何千万回言ったとして、子供は成長するでしょうか?会社で「早く資料を出しなさい!」と何万回言われたって、成長できないですよね?

「3000万語の格差」の本では、これを「ビジネストーク」と「おまけの話」に分けています。

ビジネストーク
  • 早く食べなさい
  • 早く着替えなさい
  • 靴を履いて
おまけの話
  • 大きな木だね
  • このアイスおいしい!
  • ママのおっきい男の子はだれかな?

おまけの話が子供たちの発達にとって豊かな効果をもつようになる

3000万語の格差

わが家では子育てにおいて、さらに「考える話」をプラスしてます。

考える話
  • なんでだろうね~?
  • 鬼さんかわいそうだね~
  • きっと悲しかったんだね

子供に考えさせる声がけです。

もちろん、しつけのためのビジネストークは必要です。ただ、それだけではだめで、生活を送るためには必ずしも必要ではない「おまけの話」とか「考える話」が重要だということです。

ここまでのまとめ
  • たくさん話しかけることが大事
  • 質の良い言葉を話しかけることが大事
  • 肯定語を話しかけることが大事

結局、結論は「貧乏家庭でも優秀な子供に育てられる」

要は優秀な子供は、話す言葉の数と質が高いということですね。

Betty HartとTodd R.Risleyは、「裕福ではない家庭でも、裕福な家庭と同じようにたくさんの言葉を、豊富な表現で与えてやれば、同じように育つ」といっています。

そしてこの方法の良いところは「お金が必要ない」というところ。つまり、「貧乏家庭でも実践できる」ということ。

貧乏家庭の戦略

受験は高い水準の教育を受けられるお金持ちの子が有利かもしれません。でも、幸せななことに社会では学力+人間力の勝負です。そして多くの職業では人間力の方が重要なパラメーターです。

だから貧乏家庭の戦略は、「幼少期に基盤が形成される人間力をしっかり育てて、受験には勝てないけど、社会で勝つ!」です。

ナツキ

頑張って声がけするぞー!

じゃあ具体的にどうやって3000万語の格差を克服するか

具体的にどうやって3000万語の格差を克服するか

知っていても実践できなければ意味がないですよね。

そこで「3000万語の格差」の著者、サスキンド博士が提唱する3段階のコミュニケーションプログラム「3つのT」をご紹介します。

この方法は、脳科学の専門家であるサスキンド博士が考えた幼少期の子供への接し方です。

3つのT
  • Tune In 
  • Talk More
  • Take Turns

Tune In チューンイン

子供は自身の興味がある物事で成長していくことから

親のやり方に子供を寄せていくのではなく、子供が興味を示していることによって行く。「絵本を読んであげるからおいで」ではなく「何してるの?楽しそうだね、一緒にやろう」と寄せていく姿勢がTune In。

これは意外とできない。せっかく買った知育おもちゃで遊ばせたくなるよね!そうじゃなくて、子供に合わせることが大事。

Talk More トーク・モア

たくさん話しかけようということ。

子供と話す言葉を増やして、子供の語彙量を上げること。 一方的に話すのではなく、チューン・インで子供が集中していることを見つけ、それに対応した言葉を投げかけていくのが効果的。

実践例①ナレーション

「歯を磨く時間だよ。まずは何をする?」
「歯ブラシもって。〇〇の歯ブラシは紫色。お父さんは緑。」
「歯磨き粉を乗せて」
「ちょっとだけ、ちょっとだけだよ、よしできた!」
「さあ、用意ができた。シュシュシュ。上から下へ。舌も磨いてみようか。くすぐったい?」

この過程で子供の語彙量を育て、自立を促し、おまけとして将来の歯の治療代も節約するわけです。

3000万語の格差

実践例②「こそあど」を除く

語彙量を育てるために「こそあど」を使わないようにします。

「あの絵上手だったね!」ではなく
「昨日保育園で書いたウサギがはねてる絵、すごい上手だったね!」

この過程で、「保育園」や「ウサギ」や「はねている」などの単語や、使い方を覚えていくんです。要は、知っている言葉に動詞を加えたり、形容詞を加えたりして、積み木のように積み上げていく感じですね。

Take Turns テイク・ターンズ

一方的に言葉を聞かせるのではなく、キャッチボールが大事。

会話のやりとりをすること。一方的に「靴はきなさい」じゃなくて、「どの色の靴がいい?」「なんでその靴がいいの?」と「なぜ」「どうして」を使って会話をつなげていくことがTake turns。

実践例① Yes.NO.で答えられない会話をする

Yes.No.で応えられるクローズドな質問は、答えたら終わってしまいます。会話のキャッチボールが続くように、「なぜそう思ったの?」などオープンな質問を心がけましょう。

実践例② 「〇〇は何?」という質問は語彙が育ちにくい

なぜかというと、子供がすでに知っている言葉を思い出させているだけだから。

実践例③ 子供の答えをまつ

子供は大人と比較して反応が早くありません。答えが返ってこないからと言って、せかさずに、子供の反応を待ちましょう。子供が考えている時間こそ、成長につながるんです。

3Tの結論

子供がやっていることに全力で向き合い、言葉のキャッチボールを行い、子供の言葉を引き出す!ということ。

当たり前じゃん!と思うかもしれませんが、子供をちゃんと見てますか?スマホいじってないですか?今の時代、子供をしっかり観察することすら当たり前じゃなくなってきています。

だからこそ、この3Tを実践することで差がつきます。

3Tは保育士なら実践してる?

私の妻は結構まじめに勉強している保育士なんですが、妻が書いた記事がまさに3Tを実践していた!という話です。

ナツキ

ちょっと驚いた。軽く尊敬。

リリ

軽くは余計。保育士の素晴らしさに気付くの遅いわ!
妻を尊敬した記事

【まとめ】3000万語の格差はあるが、親の努力で乗り越えられる

【まとめ】3000万語の格差はあるが、親の努力で乗り越えられる

いろいろと書きましたが、結論はかんたん。

「子供をよく観察して、豊富な語彙と肯定的な言葉でたくさん話しかけよう!」です。

と書いては見ましたが、貧乏家庭の状況を知っているだけにハードルが高いですね。精神的余裕がないからね、貧乏家庭は。

それでも、私みたいな貧乏家庭の子供でもしっかり教育してあげたいという思いから、この記事を書きました。

非正規社員が増えて、日本全体の貧困率が上がる中、3000万語の格差の考え方は励みになります。

難しいことは言ってませんよね。「スマホなんて見ずに、子供に寄り添って」「子供を褒めて」「はげまして」「可能性をひろげる」それだけです。

いろいろな研究論文を読みますが、ほんとうに幼児教育って、それだけやればかなり効果があると思います。

少しでも日本を良くしたいという思いから、これからも幼児教育、人材育成の記事を書いていきたいと思います。

子育ての参考になれば幸いです。

関連記事

幼児教育の重要性は、子供育てるべき能力である「非認知能力を育てる方法」をあわせてご覧ください。

【レビュー】3000万語の格差

内容は書いた通りですが、詳しく載っています。ただし、普通の人には少し読みにくいかもしれません。なぜかというと、学術的かつ専門的すぎるから。

最近流行りの、世界の研究内容がポップに書いてあるものや、子育てエピソードがたっぷり入った「共感系」の育児本とは違います、特に後者がお好きな方にはおすすめしません。

ただ、私にとっては歴代ベスト3に入る育児本でした。なぜなら、自身の経験や数々の教育論文を読んで、感じていたことの7割くらいは、この本に書いてあるから。

真面目に幼児教育勉強している人には響きます。あと、保育士。

でもあまり売れてないです。日本人は「芸能人が実践してる」とか「5分で頭が良くなる」とかキャッチーなものが大好きなのに対して、この本はとても内容が堅いからだと思います。

でも、内容が素晴らしいから、辻ちゃんあたりがツイートしたら一気に火がつきそう。

とにかく内容はパーフェクト。200報以上教育論文読んできたけど、答えはここにまとまってる!って感じです。

以上、本当に子供を優秀にしたいなら必ず読むべき本です。

あと、興味ある人は掛川先生の「3000万語の格差は本当か」をお読みください。3000万語の格差の研究課題について書いてあります。

あとは、高山先生の「保育者向け通信」。これもためになります。はじめて子育てする方は是非。

以上、おわり。