この記事は不登校支援で実績をあげている(一社)家庭教育支援センターペアレンツキャンプの代表カウンセラー、佐藤博様にご寄稿頂きました。
はじめまして。
一般社団法人家庭教育支援センターペアレンツキャンプ 代表カウンセラーの佐藤博と申します。
私たちの支援機関では、
- 親御さんに家庭教育を学んでいただく「家庭教育支援」
- 不登校になったお子さんのサポートを行う「不登校復学支援」
- 世界の不登校のサポートや家庭教育の普及を行う「社会的支援」
の3つの支援を行っております。
この度「幼児教材を紹介するおうち教材の森」様とご縁があり、記事を書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
毎年、新小学1年生になったお子さんを持つご家庭で、このような悩みを持たれるケースがあります。
- お子さんが1人(登校班)で学校に行くことに対する不安を毎朝訴える
- お子さんが「ママと一緒じゃなきゃ嫌だ」と泣いてしまい、お母さんと一緒に学校に行く日が続く
- お子さんが朝になり「学校が怖い」「おなかが痛い」と言い学校を欠席する
親御さんからすれば、小学校に入学してこれから他のお友達と一緒に勉強だけではなく、集団生活の中で様々なことを学んでもらおうと思っていた矢先の出来事でどう支えてあげるべきか悩まれることと思います。
「親が付き添って登校をするのはどうだろう?」
「はじめは無理に学校に行かせようとせず、休ませながら徐々に学校に慣らしていくのはどうだろう?」
「とくにいじめなどはないはずなのに『学校が怖い』というのはなんでだろう?」
そんな皆さんのお悩みについて解説をしたいと思います。
小学生の母子登校は不登校にカウントされない
小学生は、お家から1人あるいは登校班で学校に行き、授業を受け、帰宅しますが、稀にお母さん同伴でなければ登校が出来ないケースがあります。
これは「母子同伴登校」や「母子登校」と呼ばれます。
母子登校の難しいところは、お子さんはお母さんと一緒に学校には通えているため欠席扱いにはならず、学校現場でも課題視されにくいという点です。
文部科学省でも不登校児童生徒数は確認されていますが、欠席扱いにはならない母子登校は確認が難しいため、全国でどれくらいのお子さんが母子登校状態にあるかが分からないのが現状です。
とはいえ、母子登校に悩まれているご家庭は1学期は特に多く見られるため、決して珍しいことではないと言えます。
小学校低学年のお子さんに多く見られる母子登校。
周囲からは
- 「学校に来れているだけでいいじゃない」
- 「まだママに甘えたい時期なのね」
と言っていただくものの、お母さんとしてはどうしても周りのお子さんとわが子を比べてしまいやすいです。
不登校ではないけれど、登校の面において課題や不安がある状態です。
お母さんの負担がとても大きいのが特徴で、頑張るお母さんが疲れてしまいやすいのが母子登校です。
「子どものことを考えれば、これくらいの労力は仕方がない」とおっしゃる方もいます。
しかしながら、それが毎日となると精神的にも体力的にもしんどくなりますし、お仕事をされている方だとお仕事の調整も必要になり、疲弊していきがちです。
また、母子登校になったお子さんは予兆として朝行き渋りを見せていたケースがほとんどです。
始めはお母さんも叱ったりなだめたりしながらなんとか登校させるのですが、どこかのタイミングでお母さんも「これはちょっと一緒に行ってあげないとどうしようもないな」と判断される時がやってきます。
例えば、
- 近所迷惑になるくらい大声で何十分も泣かれたり
- 子どもが泣きじゃくって辛そうにしていたり
- 「お母さんと一緒なら行くから!」
と登校の意思が見える時にお母さんが子どもについて行こうと決められることが多いようです。
行き渋りの原因がその日の「授業が不安」「給食が不安」と1日限りの不安ごとや悩み事だったとすれば、一度ついていって不安を解消してやればその後は1人でいつも通りに登校が出来るケースもあります。
しかしながら、大体のケースでは本人の自立の問題に起因することが多く、根本的な原因を解決していかなければ母子登校は深刻化しやすいのが現状です。
母子登校の原因として考えられる理由は様々ですが、代表的なものとしては以下の4つが挙げられます。
- お子さんの自立面に課題がある
- お母さんが過保護状態にある
- お子さんの発達に課題がある
- 環境に起因する問題
【母子登校原因1】お子さんの自立面に課題がある
例えば、幼稚園年長の子が、小学2年生の教室に入ったらどうなるでしょうか。
おそらくですが、クラスメイトと話題がかみ合わない、授業の内容が分からない、みんな出来るのに自分だけできないから逃げたくなる、みんなは困ったら先生に聞けるのに自分は聞けない、クラスで浮いてしまう…。
何週間かは頑張れるかもしれませんが、そのうち
「ママ、学校怖いよぅ。行きたくないよ…」
となるのではないかと思います。
朝起きられずに「おなかが痛い」「頭が痛い」と身体症状を訴えてくるケースもすくなくありません。
実際、自分でもそうなる理由がわからないので子どもの立場で考えれば見えない敵から日々攻撃されているような気持ちになると思います。
この状況ならそういう気持ちになってしまうのは無理もないかもしれません。
そのようなケースでは心理学などの分析よりも、単純に「年相応の自立を目指す。子どもに親がわが子にあった家庭教育を学んで実践する」という答えになることが往々にしてあります。
「年相応の自立を目指す」方法のひとつとしては、「子どもの失敗を愛してあげること」があげられます。
親の庇護のもと、一度も失敗をしたことがない子は親から離れて学校生活を送る中で、周りの子がまったく気にしない程度のことでもストレスを感じて心がポキッと折れてしまいます。そして折れた心を立て直す経験も少ないため、そこで歩みをとめてしまうのです。
だからこそ、親の目の届く過程でこそ、小さな穴に足を取られる経験をさせることが大切です。
いかにそこを親が適切な距離感を持って見守れるかがポイントとなります。
「忘れ物ない?」
「もっと早くしないと間に合わないわよ」
など親が先回りをして子どもが失敗をする経験を奪わないことが大切です。
親が過干渉をしないことでしっかり失敗させて、恥をかいたり、先生に叱られたり、友達に注意されたりという経験を積ませることが子育ての神髄とも言えるのかも知れません。
そういった対応を積み重ねていけば、お子さんはお母さんがそばに居なくても学校で十分に頑張れる子になれるのではないかと私は考えています。
【母子登校原因2】お母さんが過保護状態にある
お母さんが「この子は私がいないと何もできない」と感じ、親が先回りをして子どもの問題に介入するような対応を繰り返した結果、子が親への依頼心を強めてしまっている状況が継続的に持続している場合は過保護の状態に陥っていると考えられます。
お母さんが子どもに頼られるとつい張り切ってしまうのが特徴です。
お母さんから
- 「給食袋は持った?」
- 「宿題はランドセルに入れたの?」
- 「早くご飯食べないと間に合わないよ!」
などの声掛けを子どもに多くし、結果子が親への依頼心が強くなってお母さんがいない学校環境に不適応を起こしてしまう。
子どもがひとりで出来ることはひとりでさせ、「お母さんがいなくても頑張れる、出来る」ということを親子ともに体感しながら一人での登校を目指すとよいでしょう。
【母子登校原因3】お子さんの発達に課題がある
この場合は、お子さんが実は発達障がいであったり、学校環境に適応できない理由があることに気づいていないケースです。
学習についていくことが困難、聴覚過敏(音が聴こえすぎてしまう)、多動傾向、自閉傾向 などの傾向があるお子さんの場合は、どうしても年齢が重なるごとに集団生活を送ることが困難になりやすいのです。
実は発達に課題があるお子さんであった場合は適切な支援を早い段階で受けておいたほうが、後々様々なサポートを受けやすくなります。
しかしながら、昨今は発達障がいへの理解が進みすぎて、実は発達障がいではないケースでも「○○障がいのグレーゾーン」と言われてしまうことは多いです。
基本的に発達障がいは、生まれ持ってのもの(先天性)であり、子育ての良し悪しでなるもの(後天性)ではありません。
「大人になって発達障がいになった」と言う話もよく聞きますが、実はそれは生まれ持ってそういった障がいをもっていたけれども、本人が気づかず、大人になってからご自身が障がいをもっておられたことに気づいたということです。
グレーゾーンというのは先天的に障がいがあるのか、単純にそれらは個性であるのか、の判別が難しいケースを指します。
その場合、安易に障がいとは判断せずに、まずは、教育のゴールである「子どもが将来、社会に出て困らないように、スキルや社会のルールを教えてあげる」ことを念頭においてお子さんと接する必要があると私は考えます。
障がいという言葉にとらわれ過ぎてしまうと、本来教えられるものも教えられなくなることもありますので、安易に発達障がいと判断はしないことをお勧めします。
【母子登校原因4】環境に起因する問題
学校の先生やクラスメイトとの相性や、通学路の遠さなどが挙げられます。
どうしても先生やクラスメイトとの相性が悪い場合は、学校との話し合いが必要かも知れません。
また、新小学1年生の場合、「小1プロブレム」という問題が学校内で起きているケースもあります。
小1プロブレムとは、小学校に入学したばかりの子が
- 集団行動が取れない
- 授業中に座っていられない
- 先生の話を聞かない
など、学校生活になじめない状態が続くことを「小1プロブレム」と言います。
小1プロブレムの状態にある場合は、落ち着いて授業が受けられない環境下なので行き渋りを訴えるお子さんも居ます。
通学路の遠さによる問題の場合は、転校など環境を変えることで学校に通いやすくなる場合もありますが、お子さんの自立心に課題があるケースであった場合は環境を変えても母子登校などが解決しない可能性があります。
特に新小学1年生のお子さんの場合、単に学校環境に慣れていないだけな可能性があるので、転校するしないの判断は慎重になったほうがよいでしょう。
母子登校を予防するためには?
まとめとしまして、
- 母子登校はなったご家庭にしか分からない苦労がある
- 母子登校は登校出来ているとは言っても深刻な状況と言える
- 母子登校の原因は様々である
ということがいえるかと思います。
母子登校の予防としては、お子さんの年齢相応の自立心を家庭内で育むということが近道と言えるかも知れません。
特にコロナ禍などにおいては、環境の変化に適応できる力があるお子さんであればあるほど、どのような状況においても「どうやってこの課題を乗り越えよう?」と考えられると言えるでしょう。
家庭内では、是非お子さんの失敗を愛し、失敗から学び成長出来るような関わりをされることをおすすめします。
あとがき
大変、素晴らしい内容をありがとうございました。私自身、母子登校という言葉を初めて聞きました。
もし我が子が同じ状況になったら、「1人で行きなさい!」と強く言ってしまうと思います。ですが、今回のお話を聞けたことで対応を変えることができます。
このように、専門家の方に相談すると意外とあっさり解決してしまうこともありそうです。もし、不登校や家庭教育に悩まれてる方がいらっしゃれば、専門家に相談するのも1つの手かと思います。
ペレンツキャンプ様は小学生・中学生の不登校からの復学支援、相談を行っており、独自の不登校復学支援のメソッドと、予防的な家庭教育の考え方を開発し、提供しています。
保護者の方で不登校や家庭教育を相談できる会社や公的機関に詳しい人はいないと思いますが、ペアレンツキャンプ様は文部科学省の協議会にも参加されてるので安心です。
下記はペアレンツキャンプ様が出席されている協議会の動画です。
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